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金融士構想

「金融士」創設へ
 金融庁は30日、金融の専門家を認定する新たな資格「金融士」(仮称)を創設する方針を明らかにした。金融工学から法律まで幅広い知識を身につけた人材に公的な「お墨付き」を与える。6月6日まで意見を募ったうえで、具体的な制度設計に入る。導入は2010年度以降の見通しだ。
 変化の激しい金融業界の専門家を育て、欧米に比べ遅れているとされる国内金融市場の競争力を強化する狙いだ。金融機関の幹部として望ましい人材の目安となる。金融庁や日本銀行など金融当局に転職する際の優遇も検討しており、官民の人材交流の活発化を促す役割にも期待している。(2008年5月1日 読売新聞)

金融庁が金融関連の新資格の創設を検討しているそうです。既に日本では証券アナリストという資格がそれなりの地位と敬意を確保しているにもかかわらずなぜに新たな資格を創設するのでしょうか?

普通に考えれば、証券アナリストとCFAがそれなりにポジションを築いてしまっているこの状況において、新たに「金融士」などという資格を作っても、その資格が対外的に評価されるものでなければその資格を目指そうという人は出てくるのだろうか?という疑問が生じます。CIIA(国際公認投資アナリスト)という資格がありますが、あまり人気がありません。理由は単純で、その資格を取ったとしても人気も知名度もなさ過ぎて国際的に評価されないからです。日本の証券アナリスト協会は昔はCFAと連携した時期もあったようですが、今は縁も切れこのCIIAという資格に肩入れしているようです。しかし、国際的にはCFAの圧倒的な存在感に比べてCIIAは知名度は殆どないようです。日本人しか知らない国際資格ということのようで。

要するに他人が評価してくれない資格なんか努力する価値なんかないという無情な現実がありますが、金融士という資格は、証券アナリストとの競合を念頭に置きながらどういう展開を見せるのでしょうか。

個人的な想像なのですが、「金融庁様」が音頭をとって創設される資格ですので、日本の金融機関は勝手に金融庁の思惑を斟酌するか、無言の圧力に屈し、金融士取得を昇進の条件にするなどして、あんがいこの資格は将来的には取得必須とも言える資格に成長するのではないかと思ってます。

もう一つうがった見方をすれば、金融庁は「金融士協会」というこの資格を管理する団体を作り、そこを新たな天下りポジション&利権確保のベースとするつもりとしか思えません。国内系金融機関を中心とした従業員に対するこの資格取得奨励のモメンタムが加速してくれば、周辺教育産業も発達し、その協会も様々な金銭的うま味を得られるようになるでしょう。金融庁は歴史の浅い官庁ですので今まで他の官庁ほどそうしたうま味の殆どない官庁だったでしょうから、この資格をきっかけに他の官庁と同じうま味を味わいたいという思惑もあるのかないのか。

「金融士」構想への疑問=現場は既に十分優秀であろう(追記あり)
by linate | 2008-05-04 19:05 | マーケット雑感


株屋ですよ。


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