カテゴリ:銀行員時代( 5 )

東欧から火の手が上がる

銀行員の頃、円カストディの外人向け営業とクライアントサポートをやってた時期がありました。今はどうだかわかりませんが、円カストディの当時のプレーヤーは現在のメガバンク3行に外資系3行(HSBC、StanChart、Citi)の計6行でした。

当時私は欧州の中堅・周辺各国の銀行の担当をやっていました。カストディの保管資産は基本的には銀行の自己資産とは分別保管されていますので、銀行が破綻するという事態になっても、カストディ顧客の資産はセキュアされている、というのが建前です。しかし顧客サイドはそれでも邦銀のクレジットを問題にして、定期的なカストディバンクレビューや契約更新の際に外資系銀行への資産移管がたまに発生したりしちゃってました。

アメリカのサブプライム・証券化危機が欧州に飛び火し、最近は自ら火種を巻いた東欧危機が盛んに報道されるようになるにつれ、昔の私の担当顧客で私の銀行のクレジットにぐちぐち文句をつけていた銀行の名前をいくつか見るようになりました。

ユーロはヤバいヤバいとは思っていましたが、スウェーデンとか、そもそもユーロに参加とか認められるんでしょうか? 

それと、アイスランドにせよ、スイスにせよ、オーストリアにせよ、スウェーデンにせよ、自国市場の小さな国の企業は成長を求めると、海外に活路を求めざるを得ない。銀行という業種に限った場合、小国の銀行が大国に進出しようにも大国の銀行のスケールにはかなわない、だから他の小国やエマージングとかのニッチを攻めざるを得ない。それが巡り巡って、グローバルなボラティリティがこういう小国には増幅されて押し寄せてくるなあ、という印象を受けます。国が小さい、ただそれだけでプレミアムを要求してもいいのかもしれません。フィンランドもノキアがいなくなると国家財政は回るのかって話もありますし。

(Bloomberg: Banks Face Downgrades on Eastern European Losses, Moody’s Says)
[PR]
by linate | 2009-02-17 13:21 | 銀行員時代

邦銀決算と銀行による株式保有

日本の大手金融機関は保守的だったのか、のろまだったのかはわかりませんが、証券化商品・CDO・レバレッジドローンであまり損は出していませんが(あ、新生、あおぞら、農中はのぞきますw)、取引先株式の政策投資で相当損を出してこれが一部銀行では赤字の要因になってますね。

2001年頃に銀行による株式保有を5%に制限する法律が制定されたことと、取引先株価の下落で資本を相当圧迫されている時期があり、当然経営陣から現場には株式の売却の命令が出されました。銀行を安定株主と思っていた当時の取引先経営者には、これは裏切りと取られたことでしょう。関係が悪化し、各行の売却方針の違いによりメインバンクの交代、融資シェアの激変等も一部あったやに聞いています。担当者・営業部レベルでは、最重要取引先の株については売却を拒否し、本部とのバトルに明け暮れる日々もありました。

その後日本の金融危機が峠を越した2003年だったか2004年あたりから、増資によりバランスシートに余裕ができた邦銀は重点取引先の株式保有を増やしにかかったり、アクティビストをおそれた企業経営者から買い増し要請が来たりで、銀行の株式保有に関する規律がゆるみ始めました。

そもそも銀行はなぜ取引先株式を保有したがるのか? 株主という立場になると言うことで、自らの地位を高め融資残高を増やし、融資以外の手数料モノのプロダクトを買わせるためです。現場の担当者であれば担当企業の株式をもっと銀行に買い増しさせ、自らの業績のアップにつなげたいと思うはずです。しかし、そこに資本コストや株価変動リスクというものは考慮されていません。資本コストを含めた取引の採算性はどうなのか。ここでは採算性はよろしくないということを言いたいようです。実感としてもそうだろうな、と思います。

近年では取引先企業の側から、安定株主比率向上のために銀行に株を買いましてくれ、という要請もありました。安定株主比率の向上? 何のために? 企業経営者は粛々と経営に携わり、利益を上げ、適切に株主に利益を返すか、株価を向上させるという本業中の本業に注力さえしていればいいのであって、なぜ経営者が株主構成など気にする必要があるのか。さっぱり理解できません。また銀行の側もROEや株主資本に対するリスクを無視して取引先の要請にホイホイ応じるのも問題でしょう。

それが今回の経済危機によりまたしても銀行は取引先株式のせいでバランスシートを毀損する、という自体に陥っています。銀行も本音としては、取引先の株式なんか持ちたくない。でも、よそに持って行かれると本業の銀行業務からの収入が脅かされるから消極的に保有しているという側面が大きいと思います。現在の法律では銀行による株式保有は5%までに制限していますが、日本の金融システムに対するリスクを減じるためには、自らの事業に関連のない企業の株式保有を5%ではなく一切禁じてもいいんじゃないでしょうか。

禁止すると株式需要が悪化してより一層株式市場と本邦金融システムが痛む? かつてのように日銀や機構に買い取ってもらいましょう。
[PR]
by linate | 2009-02-16 22:51 | 銀行員時代

早期退職を経験した者の視点(相当特殊ですが)

日経ネットPLUSの記事に、若者はなぜ早期退職するのか?というのがあり、何人かの識者がコメントを寄せています。

人事側が、最近の若者はわがままになったと嘆いているというそうですが、若者だけじゃなくて、会社自体が「わがまま」だと私は感じていました。会社のわがままだけが社会的に肯定される一方で、従業員個人が自分の意志を通そうとすると「わがまま」と言われて指弾される構図には新卒の頃から納得できていませんでした。

私は自分自身の幸福のために生きているのが一義的にあって、私が幸福になる道程で会社や株主もついでに幸福になってくれれば最良だと思います。会社や株主だけが一方的にハッピーになり従業員だけにアンハッピーを押し付けてくるようなら、何のために自分は生きているのか意味が見いだせなくなります。

私が新卒で入った頃は給与削減、賞与大幅カット、その他福利厚生の削減、果ては子会社や関連会社、取引先への転籍の強要など、会社は生き残るために一方的にわがままを従業員に押し付けていました。人事異動でも従業員には拒否できる権利は基本的にはありません。行けと言われた部署に粛々と行くだけです。それを拒否しようものなら、反抗的な人間と一方的にレッテルを貼られます。従業員は会社の都合に一方的に従う権利しかありません。そうした会社の最も醜い「わがまま」を入社早々目の当たりにした世代としては、会社に自己犠牲で尽くそうなんてさらさら考える訳もなくなります。

最初はやりたいことも漠然としており部門別採用の外資に入ることにはためらいがありました。しかし、銀行に入ったことである程度自分の方向性が見えてきた私にとっては、銀行に居続けると望まない仕事をさせられ、自分の成長にとって無駄な時間を浪費するはめになり、銀行にいることは自分の人生に対するリスク以外の何者でもないと感じるようになり、メガバンク脱出を決意しました。

金融業界にいる人間の多くの人がエキサイティングに感じる海外やフロントの仕事というのは、銀行の中では低くはありませんがそんなに高いランクでもありません。仕事をがんばって部店長の評価があがると、「出世コース」にのせられ、エキサイティングとはほど遠い仕事をしている部署にまわされてしまいます。あまりにもやる気がなさすぎると、左遷コースのこれまた望まない仕事をしている部署にまわされます。銀行でやりたい仕事にありつくのは力加減が難しいのです。私はそんなんだったら、外で見つけた方が全然手っ取り早いわ、と思ったものでした。MBAをとったり、部店長の評価も高く、「出世コース」に乗っているかつての同期たちを見ると、会社は彼らを優遇しているつもりなのでしょうが、彼らの仕事に対する満足度そのものはあまり高そうには見えません。

勤め人になるということは、自分の労働力を会社に対して販売していることだと思っています。売る側も客を選別する自由は持っていいと思います。自分にはこういうスキルがあるからこういう仕事においてより高いパフォーマンスを示せます、と会社に提示し、会社側がそれに見合ったオープンなポジションがあるから採用する、外国では当たり前の話ですが、これって労働者の側にとっても会社側にとっても最良のマッチング法だと今更ながら思うのです。
[PR]
by linate | 2007-12-15 14:42 | 銀行員時代

まだこんなのがニュースになるんですね。

さっき日経のサイトをなんとなく眺めていたら目にとまった記事ですが、未だに長プラ(長期プライムレート)の変動が記事になるんですね。長プラ貸しなんか今時やってるんですか? 都銀だと短プラ貸しはやってるみたいですが、私がまだ銀行員をやっていた頃ですら大企業なんかTIBORベースかLIBORベースにすでに移行しきっていたように記憶しています。

金融債での資金調達と長プラでの運用が車の両輪のようにワンセットであり、長プラは文字通り「指標金利」だった時代がありました。今は普通社債での調達に切り替わってしまいその金融債の調達がなくなってしまい、長プラ自体も誰にも利用されない「遺物」であるのにこうしてマスコミに報道され続けている。実は私が知らないだけでそれなりに重要な意味を持つ領域があるのでしょうか? ていうか、そもそも長プラは、発行済み金融債の実勢レートに基づき決定される新発金融債の利回りに90bpを乗せたものが改訂後の長プラのレートでしたから、今は長プラはどうやって決めているんでしょうか?

ちなみに長信銀には「金融法人部」あるいは地方支店には「金融法人課」というものが存在します。地銀や信用金庫に対する営業を所管する部署です。私が銀行員になった頃は、仕組み債や機関投資家向け私募投信、大企業向けシンジケートローンやローンパーティシペーションを慫慂(個人的に懐かしい単語です)するなど地銀や信金に対して提供できる商品ラインナップもそこそこ増えていました。しかし、事業法人と違い融資を殆どすることがないので煩わしい与信管理がなく、暇そうな部署でした。そもそも金法という部の大元の存在理由は、発行する金融債を地域金融機関に買って頂くことでした。金融債は毎月発行されていましたが、毎月毎月営業することはありませんでした。資金を調達する長信銀の側からしたら毎月毎月調達できる資金に変動が生じるのはいろいろと不都合が多いので、年度が始まる前に翌年度に毎月購入する一定金額を決めてもらってしまうという「ベース取引」という取引慣行が存在したからです。その昔の金法担当者が働くのはこのベース取引の金額を決める年度末だけで、あとはまた翌年のベース取引がスムーズにいくように接待に明けくれるという時代もあったようです。地方はそのためだけに人を配置できた時代があったのです。

(参考:日経記事)
[PR]
by linate | 2007-11-08 21:14 | 銀行員時代

支店担当者と審査部

昔の銀行員の頃のことをお話ししてみようかと。

私のいた銀行はメガバンクの一つで、入行時の銀行の名前はもはやこの世には存在しません。銀行で働く行員にはそれぞれのカラーがあるなんて言いますが、個人的に一番端的にその銀行のカラーを示していると思っていたのが支店担当者と審査部の関係でした。簡単に言うと、ある銀行は審査部が支店に対して優位である一方で、ある銀行は支店の力が強いというものです。

企業に融資をしようとする場合、ちゃんと金が返ってくるかどうか審査、いわゆるクレジット判断をしなければなりません。この「審査」する主体は審査部だけが担うものではなく一次審査は案件の担当者自身あるいは支店自体が実施するものであり、審査部は第三者的視点から案件を再チェックする存在であると「べき論」として入行時研修で普通はたたき込まれるかと思います。企業格付や融資金額によっては審査部に上げる必要もなく、支店長のゴーサインだけで済む場合もありますが、それは審査という行為をすっ飛ばしているわけではなく、審査権が支店長にdelegateされているものであるという建前でした。

銀行によってはこの支店へのdelegateの度合いが大きく、数億円単位の案件でも支店で決裁可能な銀行もある一方で、億単位の案件はまず間違いなく審査部決裁になってしまうと言う銀行もありました。細かく言うと、都銀には同じ銀行内でも明確に支店がランク付けされていて、ランクの高い支店や本店営業部は決裁出来る金額が大きく、ランクの低い支店はちょっとした金額でも審査部決裁を必要としていました。さすがに行員が1万人以上もいて、支店が3桁も存在すると信用できない奴もいるし、能力のある行員やベテランで信頼感のある支店長は大きな支店に配属されているという判断からああいう制度になっているのでしょうか?(これに限らず都銀は性悪説に基づいているとしか思えない制度が結構存在しました)

で、本題ですがいざ案件規模が大きく、いよいよ審査部と対面する時に銀行特有のカラーが象徴的に現れている場面が出てきます。合併直後に、ある銀行出身の行員が審査部案件となった案件について支店の担当者自身が審査部に電話をかけたところ、審査役でも何でもない審査部の担当者が
「え?担当者がかけてくるの?普通課長がかけてくるもんでしょ?」
とまあ偉そうなことをぬかすので、私の知り合いマジ切れ寸前だったそうです。と斯様に、ある銀行では審査部は支店を指導してやる立場だし、支店の案件を決裁してやる立場なので、審査部は絶対でした。審査部に案件を決裁して「頂く」ために、審査部の指示は絶対だし、審査部から電話がかかってくると担当者は相当緊張したと聞きました。

一方で、またある銀行は「稼ぐ人間=営業が一番偉い。審査部なんか営業の出来ない連中の掃き溜め」という認識を持つ人がいるくらい営業優位の銀行でした。その銀行の営業担当者は案件が決裁されないなんてことはハナから想像だにしていません。支店の担当者が審査を恫喝なんてこともあったそうです。別のパターンでは審査部が決裁を渋る案件について、審査役あるいは審査担当者の先輩である支店長/部長が直接電話をかけて
「ね~、あの案件はんこ押してくれたぁ?」
と反則だろって圧力をかけることもあったとか。私はその営業優位の銀行出身なのですが、そういう審査と支店の関係性とかカルチャーがこの銀行を破綻寸前にまで追いやったんだろうと思っています。
[PR]
by linate | 2007-06-15 20:50 | 銀行員時代


株屋ですよ。


by linate

プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ

全体
仕事
CFA
マーケット雑感
銀行員時代
学生生活・留学
その他
NY・アメリカ生活雑感
未分類

最新のトラックバック

民主党・鳩山代表を応援し..
from 歌は世につれ世は歌につれ・・..
GM、連邦破産法適用申請
from 歌は世につれ世は歌につれ・・..
民主・中川氏「ドル建て米..
from 歌は世につれ世は歌につれ・・..
‘UK has noth..
from 歌は世につれ世は歌につれ・・..
経産次官「デイトレーダー..
from 歌は世につれ世は歌につれ・・..

以前の記事

2012年 11月
2012年 10月
2012年 07月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 07月
2011年 05月
2011年 01月
2010年 11月
2010年 08月
more...

お気に入りブログ

ニューヨークの遊び方
本石町日記
TJアドバイザーズ代表T...
ベルリン中央駅
投資銀行家への道
ウォールストリート日記
Tori Box
ロンドンより愛を込めて
千丸日記
New York, NY...
PAA blog
It's a Small...
Playing with...

ブックマーク

ライフログ



人気ジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧