カテゴリ:マーケット雑感( 58 )

ご無沙汰しておりました

前回ポストから結構開いてしまいました

前回ポスト以降、CFAのLevel 3を受験しまして、それから何もする気が起きなくなっていたところに、婚約してしまったり、Level 3を実は落ちてしまったり、ブラジルに2週間出張に行ったりと、イベントが重なったところに、市場もそれを取り巻く環境も毎日がジェットコースター状態で、今日思ったことが明日には間違っていたとわかったり、ぼーっと考えているうちに市場においていかれそうになったり、でブログのメンテが疎かになってしまっていました。

日本の株式市場は、昨日のアメリカのセンチメントがその動きの大半を支配する自律のない市場だと思っていますが、ここ数日の相場はあきれるを通り越して怒りにも満ちた感情を持ちながら観察していました。株価の割安、割高の尺度にPERとかPBRがよく使われます。たとえばPERが市場平均で13倍だけど、この会社は6倍だから割安だ!とそんな単純なモノではなかったりします。市場平均は13倍だけど、産業によって資本構成が変わり、適正なPERも産業ごとに違ったりするのでセクター平均のPERが6倍、ということであれば、その会社のPERは適正評価ということも言えます。また、その会社が経営に不手際があったりでゴタゴタしていたり、その会社の製品自体自体が衰退するばかりで再度成長に向かう見込みがない、と言った場合には「バリュートラップ」とも呼ばれますが、割安のまま放置されていることが正当化される場合もあります。

翻って日本の株式市場は、PBRが1倍を割れたそうです。上記の通り個別企業のPBRが1倍割れという局面はもしかしたら、それを正当化する理由がある場合もありますが、市場全体のPBRが1倍を割れる、というのは明らかな売られすぎであり異常値以外の何者でもないと考えるべきでしょう。プライムブローカーからクレジットを絞られたヘッジファンドの換金売りや、海外リスク資産の忌避に伴うリパトリを要因として、外人投資家は投げ売り状態の模様ですが、対する国内投資家はなすがままで、流動性を供与するわけでもなく、価格発見機能も放棄しているように見えます。

でも、明らかに割安だけど、問題はそれでもここから買い迎えるのか?という点でしょうか。

日本は相対的にレバレッジのかかっていない社会ですので、グローバルなデレバレッジや信用危機の影響を他の先進国に比して受けずに済むはずだったのですが、株価がココまで下がってくると実体経済に影響を及ぼさざるを得ません。昨日も大和生命の破綻がありましたが、破綻まではないにしても他の保険会社の余力は落ちこそすれあげることはないでしょうし、企業年金不足額の補填のために企業収益は悪化しますし、景気回復過程で再び持ち合いを増やした銀行もこれから含み損を計上する過程に入っていくでしょう。そもそも資産価格の下落は間違いなく個人の消費センチメントを悪化さ、企業業績には明らかにネガティブです。

保険会社がリスク資産への投資余力をなくし、企業が信用力を落とし、銀行も自分の体力が落ちていることから信用供与を絞り始めると、日本経済もグローバルな危機にこれまで想定されていたのよりもひどい程度で同調せざるを得なくなってくるのでしょうか。そうすると、実体経済の方が今の株価がインプライする水準に回帰し、今は割安でも、そのうち正当化される株価水準として落ち着いていくのかもしれません。

今の株価水準は私が銀行に入った頃、自分の銀行だけでなく、どの大手銀行も明日が見えない、明日にはどこの取引先が飛ぶんだろう、来月はもしかしたらあの銀行も飛ぶかもという、不安に私だけでなく同僚みんなが押しつぶされそうな感情を抱いていた頃の株価ですので、またそういう時代が来るのかなあと思うようになってきました、ここ数日。
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by linate | 2008-10-11 12:35 | マーケット雑感

今月末のMSCI Japan銘柄入替

GW明けに発表されていたにもかかわらず今更気づいたニュースですが、今月末に予定されている定例のMSCIの銘柄入替において、MSCI Japanでは私の地元の銀行、伊予銀行が新たな構成銘柄になるとのこと。

伊予銀行はむか〜し、新卒の就職活動時代、地元に帰ることも全く考えないではなかったので、とりあえず内定だけもらって、結局内定辞退してしまったことがあります。なので、単に地元ということだけでなく、ちょっとは心にひっかかりのある企業です。

b0102654_20584321.gifニュースをきっかけにBloombergを叩いたところ、時価総額は4000億円(約$4bn)ということで自分の感覚とか思いこみとの比較でも意外に大きくてびっくり。チャートを見ると、なぜだか最近の日本市場全体に手詰まり感とは無縁の右肩上がりのチャート。ただ、セルサイドのカバー社数は少ないですね。MSCIに入ったとしても、カバー社数がこれだけ少ないと、日本人はともかく外国人投資家はファンダメでは買いに来ないでしょうね。なんだかんだいいつつ、セルサイドがカバーしてレポートを出しているから、バイサイドのアナリスト・FMもじゃあ、前向きに行けるかどうかリサーチしてみようか、という事も多いですから。セルサイドのカバーが薄いと、投資家コミュニティにおける知名度が低く、自分でよくリサーチしたけど、流動性がないから投資できない、という事もあり得ます。

それにしてもこの時価総額の上昇は驚きでしたが、一体我が地元で一体何が起こっているのでしょうか。我が地元に限らず、同じ瀬戸内のご近所さん、中国銀行と山口フィナンシャルグループも同時に構成銘柄になるとのこと。昨年のリバランスで広島銀行が入ったばかりということもあり、瀬戸内のマクロってどうなんでしょうね? 少なくとも瀬戸内は田舎ですが、案外に地元の製造業がしっかりしているので他の地方の地銀のように国債ばっか持ってて国債集中投資リスクに悩む、ということはなさそうですが。
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by linate | 2008-05-27 21:11 | マーケット雑感

金融士構想

「金融士」創設へ
 金融庁は30日、金融の専門家を認定する新たな資格「金融士」(仮称)を創設する方針を明らかにした。金融工学から法律まで幅広い知識を身につけた人材に公的な「お墨付き」を与える。6月6日まで意見を募ったうえで、具体的な制度設計に入る。導入は2010年度以降の見通しだ。
 変化の激しい金融業界の専門家を育て、欧米に比べ遅れているとされる国内金融市場の競争力を強化する狙いだ。金融機関の幹部として望ましい人材の目安となる。金融庁や日本銀行など金融当局に転職する際の優遇も検討しており、官民の人材交流の活発化を促す役割にも期待している。(2008年5月1日 読売新聞)

金融庁が金融関連の新資格の創設を検討しているそうです。既に日本では証券アナリストという資格がそれなりの地位と敬意を確保しているにもかかわらずなぜに新たな資格を創設するのでしょうか?

普通に考えれば、証券アナリストとCFAがそれなりにポジションを築いてしまっているこの状況において、新たに「金融士」などという資格を作っても、その資格が対外的に評価されるものでなければその資格を目指そうという人は出てくるのだろうか?という疑問が生じます。CIIA(国際公認投資アナリスト)という資格がありますが、あまり人気がありません。理由は単純で、その資格を取ったとしても人気も知名度もなさ過ぎて国際的に評価されないからです。日本の証券アナリスト協会は昔はCFAと連携した時期もあったようですが、今は縁も切れこのCIIAという資格に肩入れしているようです。しかし、国際的にはCFAの圧倒的な存在感に比べてCIIAは知名度は殆どないようです。日本人しか知らない国際資格ということのようで。

要するに他人が評価してくれない資格なんか努力する価値なんかないという無情な現実がありますが、金融士という資格は、証券アナリストとの競合を念頭に置きながらどういう展開を見せるのでしょうか。

個人的な想像なのですが、「金融庁様」が音頭をとって創設される資格ですので、日本の金融機関は勝手に金融庁の思惑を斟酌するか、無言の圧力に屈し、金融士取得を昇進の条件にするなどして、あんがいこの資格は将来的には取得必須とも言える資格に成長するのではないかと思ってます。

もう一つうがった見方をすれば、金融庁は「金融士協会」というこの資格を管理する団体を作り、そこを新たな天下りポジション&利権確保のベースとするつもりとしか思えません。国内系金融機関を中心とした従業員に対するこの資格取得奨励のモメンタムが加速してくれば、周辺教育産業も発達し、その協会も様々な金銭的うま味を得られるようになるでしょう。金融庁は歴史の浅い官庁ですので今まで他の官庁ほどそうしたうま味の殆どない官庁だったでしょうから、この資格をきっかけに他の官庁と同じうま味を味わいたいという思惑もあるのかないのか。

「金融士」構想への疑問=現場は既に十分優秀であろう(追記あり)
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by linate | 2008-05-04 19:05 | マーケット雑感

MSFT missed Q1 revenue estimates.

マイクロソフトが予想を大きく下回る第1四半期の売上を発表し、時間外取引で早速5%位株価が低下しています。

PC需要が低下しているとか、途上国では違法コピー率が高いとかを理由にしていますが、Intelの決算を見ている限りPCの需要が劇的に落ちているとも思えないですし、途上国の違法コピーの氾濫など今に始まった話ではなく昔からずっと存在しています。

要するにリソース食いまくって重いと悪評高いVistaが、アーリーアダプター層から拡大せずマイクロソフトの目算ほど売れてないだけのような気が…

ちなみに、私はVista Basicです。

(参考:Bloomberg記事)
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by linate | 2008-04-25 22:33 | マーケット雑感

雨はいつまで降り続ける

経産省の北畑事務次官が以下の発言をしたそうで:
・デイトレーダーは最も堕落した株主でバカで浮気で無責任
・無責任、有限責任で配当を要求する強欲
・そんな連中に議決権を与える必要はない。
・スティールは株主と経営者を脅すという重罪を犯している

最近日本の経済、株式市場、経営者に対する私の絶望をさらに強める発言をしてくれています… 北畑という人間は日本をどうしたいのでしょうか。社会主義にでもしたいのでしょうか。それとも役人と経営者が支配する国にしたいのでしょうか。

「株主資本主義」という言葉がありますが会社は株主のもの以上でも以下でもないというのは、「主義」とかイデオロギーではないと私は思うのです。金を払った人間に所有権が移転するだけなのですから、当たり前の原理原則であって誰にもこれを侵す権利はありません。株主資本主義ににた言葉でグローバリズムとか、米国流資本主義の押しつけとか言う人がいますが、私はこれこそがイデオロギーだと思います。そうしたイデオロギーを持った人がよく使うのが「ステイクホルダー資本主義」という言葉です。株式会社も法人として社会で営業を行い利益を得ようとする以上、自分の周囲に対して敵対的な行動をとることはレピュテーションを落として営業活動がままならなくなり、利益も上がらず株主に何の還元もできなくなります。自ずとある程度は自制的な行動をとらざるを得ませんし、社会に害を及ぼす営業活動には法による規制がかけられることでしょう。しかし、だからといって株式会社の所有権やそれに対する影響力の行使権について、経営者・コミュニティ・従業員、政府といったステイクホルダーと株主が同一視され、株主以外の主体が株主に帰属するはずの権利や利益を当たり前のようによこせというのは、何の法律で担保されているわけでもない、犯罪にすら等しい行為だと思います。

株主の権利が平気で阻害されてしまうとわかっているのなら、誰も出資なんかしようとしなくなり、イノベーションも発生せず、雇用も創出されず、結局社会に対する活力の低下という形で帰ってきて、誰も得をせず損をするだけの結果にしかなりません。そんな結果を誰が望むのですか。

最近の日本の株式市場が冴えないのは、世界経済の不透明感によるところもありますが、日本市場の場合は経営者の怠慢が最大の要因であると思います。経営者というのは資本主義のシステムの中では株主のエージェントにすぎない存在です。株主が出資をするがデイリーでのオペレーションは無理なので経営者を雇い、株主のエージェントとして日々の経営を委託しているにすぎず、経営者は株主に対してfiduciary dutyをおい、株主の利益の最大化を目指します。アメリカの場合はビジネススクールでこの基本原則をいやというほど叩き込まれますので、経営者でなくとも経営者は株主のエージェントであり彼らは株主のために働く存在であると認識されています。一方で日本ではファイナンスやコーポレートガバナンスを米国ほど学ぶ機会も多くはないためかこの原理原則が通用しない場面が多いです。

日本の経営者の株主に対する不誠実のもう一つの要因は経営者がプロの仕事ではなく、サラリーマン双六の上がりのポジションにすぎないからだとも私は思います。アメリカでは経営者という「職業」が存在し、パフォーマンスの悪い経営者は株主により解雇されても市場には経営者のプールが存在し、株主は自分の会社をまかすに足る経営者をそのプールから見つけてくることができます。株主と経営者の間の利益相反というエージェンシー問題はアメリカでも議論されますが、それでもアメリカの経営者はドライな人間が多く、自分の経営する会社の売却に抵抗感がないのは明らかです。アメリカではありませんがある欧州の企業の経営者が先日の第4四半期の決算発表の場において、「M&Aについてはオープンなスタンスだ。我々が買うにせよ、我々が買われるにせよいずれの場合でもだ。」と発言していました。

翻って日本型の経営者はその会社に30年以上つとめ、その人間の得意分野でパフォーマンスをあげるだけではなく、いろいろな政治的闘争をくぐり抜けた人間に与えられる「栄誉」といったポジションという意味合いが強いのでしょう。経営者への階段を駆け上がる過程で、経営者としての訓練を受けたわけでもなく、株主という存在を意識したことある人など少ないでしょう。そういう経営者は自ずと守るのは自分のジョブセキュリティなりプライド、そして彼に仕える部下である従業員や、利害関係のある昔からのなじみの取引先は真っ先に思いつくが、特に日本という市場ではあまり声を上げることのない株主と言う存在は経営者に意識されることはないでしょう。その会社は株主がリスクをとって資金を出した結果であるはずなのに。そう考えると彼らが買収防衛策をこぞって導入するのもわかりますよね。会社を売却することにより株主は利益を得ることができても、経営者はせっかく長年苦労して築き上げた地位が買収により一夜でなくなってしまい、買収されればなじみの取引先の営業活動にも影響が出るし、従業員も新会社で冷遇されるかもしれない。案外そういうくだらない理由で株主のモノであるはずの株式会社を私物化し、株主の利益のならない行動をとり続けているのでしょう。

キヤノンという会社を例にとってみましょうか。この会社は総資産の25%を現預金として抱え込んでいます。企業の経営者の役割というのは、バランスシートの右側にある負債や資本という形で資金を調達し、バランスシートの左側にいろんな資産を購入し、人的資産などのバランスシートに乗ってこない資産と合わせて、「運用」してリターンをあげることにあるのです。当然資本コスト以上でという前提条件がありますが。要するに経営者の仕事は「資産運用」なんです。

経営者はリターンをあげるとまずは債権者に弁済をし、次に残余資産を株主に配分して一番濃いいリスクをとったことに対するリワードを与えます。キヤノンがやってることは株主からの資本で利益を上げるまではいいんですが、利益を上げてもそれを株主に還元せず、内部留保としてため込むばかりで経営者の本来の役割であるその内部留保の運用を全く行わず、資産が死なせてしまっている。今目の前にとてもいい投資機会があって、今株主に返すより別の投資に回した方が将来的には株主利益に資するし、自分にはその能力があるというのならそれでもかまいません。キヤノンはその豊富な現預金を活かして戦略的M&Aを検討しているそうですが、いっこうに結実する気配はありません。

本来、資産の25%が流動性預金っていうのはもはや経営者としての役割を放棄しているとしか言いようがありません。現預金からのリターンはリスクフリー程度でしかなく、その分ROAもROEもダイリューションしてしまうのですから。例えば我々投資顧問が資産の25%を現預金として「死なせて」いたら受益者から非難囂々。私の役割は「株式の運用」であって、「ちょっと株式危ないから現金でおいておくね」なんてのは責任の逸脱になります。そういう判断は資金のどれくらいを外国株式の運用に回す、というアセットアロケーションを行う人間の判断で、我々株式運用部隊は、いったん運用金額が確定したらその金額すべてに責任を持ってできる限り顧客資産の成長に寄与するように株式市場を前に努力を尽くします。

今必要のない資金であれば株主に早急に返すべきでしょう。キヤノンのバランスシートでくすぶっているよりも、株主により新たな投資機会に振り向けられる方が社会全体の便益のためでもあると思います。

キヤノンは無駄な資金は抱えずにバランスシートをできるだけ効率的に維持し、戦略的な投資機会を見つけたらそのときに銀行や資本市場からファイナンスをすればいいだけの話です。キヤノンほどの会社であれば資金が必要なら銀行も資本市場も喜んで金を出します。

キヤノンの経営者である御手洗さんという人は意味不明な財界活動ばっかやって、株主にも報いず、労働者にも報いず、さりとてたぶん彼自身の報酬もグローバルベースでの比較では雀の涙程度なのでしょう。いったい彼の存在意義とは何なのでしょうか。たぶん彼がいなくてもキヤノンは世間的な意味での「エクセレントカンパニー」であり続けることができるでしょうし。

「ホームカントリーバイアス」という言葉があって、日本の年金や退職金の運用はなんだかんだでJGBと日本株が大半を占めています。つまり日本の経営者のサボタージュは日本国民・労働者に対する裏切りでもあるんです。それに気づかず、村上をつぶした日本のレベルの低いメディアや国民の声は結局は自殺行為に過ぎなかったと私は思っています。そしてそれを知っていながら経営者の犯罪に荷担している我々年金業界の罪も重い。

日本株は市場全体がバリュートラップに陥っていると私は思っています。確かに割安です。収益力の見通しに比して売られ過ぎです。でも投資したいと思わないから割安のままこれから放置されることになる。人口減が見えてきて日本という国やシステムそのものの将来に対する悲観もあるでしょうが、バリュートラップの要因が日本の経営者の株主軽視にあるのは明らかです。株主の権利が軽んじられるとわかっていて投資したいと思う人間などいません。

そんな中での経産省のトップのあの発言。彼は経営者というステイクホルダーを守りたいようです。彼の東大時代の友人を守りたい、案外そういう非常に下らないムラ意識に基づく発言なのでしょう。「日本型」経営者をのみを守ることが日本全体の公益に資することになるとは私はとても思えません。

貴重な資本を浪費し、効率化を阻害している経営者と公務員が今の日本人に対する最大の敵だと私は本気で思っています。

(参考:朝日新聞記事)
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by linate | 2008-02-09 16:06 | マーケット雑感

場中ですが

欧州の指数が7%も下げてますね。
先進国の指数なのに。

アメリカはどう始まることやら。
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by linate | 2008-01-21 22:19 | マーケット雑感

密かな金融銘柄


↑これって金融銘柄だと思いませんか?

Q4はよかったみたいですが、これから金融機関でのレイオフが続き、MAのディールが減って会計事務所や法律事務所での人員削減まで続くと、どうなんでしょうね?

あ、私はテクノロジーセクターのアナリストではありませんので、現在の株価水準と顧客である金融機関からの需要減を織り込んだモデルを作ってないので、具体的な目標株価とかがあるわけでもありません。なんとなくの印象論です。ブローカーのレポートも特に読んでないです。

ところで、ブローカーのセールスの方々の年末挨拶回りシーズンですが、バジェットが厳しいのか去年ほどデスクダイアリーの数を多くもらえていません。来年はもっと厳しいのでしょうね。
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by linate | 2007-12-25 23:02 | マーケット雑感

そういう問題ではないのでは...

今年上期までのPEファームによる巨額買収ブームを下から(上から?)支えていたのは、過剰なほどの流動性の供給があったからではあります。その流動性の供給源であったのがCLO(Collateralized Loan Obligation)、簡単に言えば複数のローン債権をパッケージにして証券化したローン資産担保証券とヘッジファンドなどのそれへの投資家でした。

アメリカでは投資銀行のみならず特に大手商業銀行にとってもローンは「アンダーライトして売りさばく」対象になってしまっております。裏にアホみたいな条件のデットでも頭のおかしくなったCLO/HFが何かにとりつかれたように食らいついてくるのを知っているからアンダーライトリスクを過小評価し、PEファームの無茶な要求(レバレッジ水準引き上げ、スプレッド低下、covenants light、equity bridge loanなどなど)をそのまんま横流しする形でデットパッケージを組成しちゃったわけです。そのデット側が審査規律を失ってしまったことにより発生したLBOブームというか短いバブルがバーストし、今に至るわけですが。PE側も上のデットをいじめすぎてもよくないという教訓になったとは思います。

下のブルームバーグの記事はサブプライムとは違い、レバレッジドローンのCLOはデフォルト率が低いので需要は戻って来るに違いない、というファンドマネージャーのコメントです。いや、そういう問題じゃないと思うのですが… リスクに対して適切なリワードが設定されており、供給が適切にコントロールされている限り今のこのタイミングでもLBOローンに対する需要はあると思いますよ。below investment gradeでもインカム重視のデット投資家というのは確実に存在しますので。

(参考:Bloombergより)
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by linate | 2007-12-06 07:40 | マーケット雑感

セルサイドアナリストの悩み

欧州では既往投資先企業、新規投資先候補企業を相当数自分の足でまわってきました。その一部の企業についてはアポ入れをお願いした証券会社のアナリスト、いわゆるセルサイドアナリストと訪問しました。

彼は年も近いこともあって、投資アイデアに限らず、結構ざっくばらんに自分のキャリア観や今のお互いの仕事についていろいろと、移動中や食事中に話しました。その中で彼のチームが新たなメンバーを迎えることが出来たという話から、最近いかにセルサイドアナリストのリクルーティングに苦労しているか、という方向に話が展開していきました。

現在3人でまわしている彼のチームには、以前はさらにもう1人在籍しており総勢4人でセクターをカバーしていました。その1人が退職して以降1年程度の長きにわたり、募集を試みるもなかなかいい人材が確保できずに苦労したそうです。その最大の理由はセルサイドアナリストという職業がかつてほど「セクシー」な仕事ではなくなってしまったからというのは彼の分析。

確かに、まず報酬面から言えば、投資銀行業務との兼務が禁止され、かつてのセルサイドアナリストの報酬の相当部分を占めていた投資銀行部門からの報酬が一切なくなり、バイサイドアナリストよりはまだ高いとは言え、金融業界の中でもセルサイドアナリストの報酬水準はさほど高いものではなくなっています。投資銀行部門の報酬なき今、セルサイドアナリストとしての実力=顧客からの支持の高さが彼らの唯一の報酬の評価基準になります。具体的には、Institutional Investor等のアナリストサーベイでの高い順位や、顧客であるバイサイドのブローカーレビューでの高い評価を得ることがセルサイドアナリストが高い報酬を得るために最終的に必要な要素になります。そのためには、興味深いレポートを出すだけでは不十分です(ベテランにはそれだけでやっている職人肌のアナリストもいるにはいます)。キーとなるバイサイドのFMやアナリストに頻繁に電話をかけてアイディア提供し、「マーケティング活動」と呼ばれる顧客を訪問してのプレゼンテーションを行い名前を売り、顧客からの情報提供のリクエストがあればきめ細かくそれに応じるなどもこなさなければなりません。それをこなした上で、バイサイドを上回るクオリティでのリサーチ活動を行わなければ、そもそもの彼らの存在意義が問われることになります。まとめるならば、リサーチ+営業+クライアントサービスの3つが彼らの業務の主要な柱になります。これら全てを高いクオリティでこなそうとすると、どうしても労働時間は相当にdemandingなものになってしまいがちです。

要するにセルサイドアナリストは、報酬面でかつてほどの魅力が失われてしまった中、投資銀行業務がなくなったものの営業活動へのエクスポージャーが増えたことで労働環境の厳しさは相変わらずです。そうした環境の変化がセルサイドアナリストのモチベーションを失わせることになり、セルサイドから去ってしまうアナリストを相当見るようになったとは同行してくれたアナリストの話。セルサイドを去ってどこに行くのかというと、ヘッジファンドなどのバイサイドに「顧客」の立場に転身したり、アナリストそのものを廃業して企業のIR部門などが主な行き先だそうです(確かに、アナリスト出身のIRはアナリストがどんな情報を欲しているかを熟知しているので話が早いことが多く、有り難い存在ではあります)。確かに私もセルサイドのリサーチ以外の活動に対するエクスポージャーに対する不安があり、セルサイドとバイサイドの両方のオファーをもらったとき、バイサイドを選択することになりました。

しかしながら、一般的にはセルサイドのアナリストはリサーチの品質の維持のために担当している企業数はバイサイドのアナリストに比べて少ないことから、個別企業の知識については一般的にはバイサイドアナリストよりも強いように思います。顧客からの厳しい評価にもまれて生き残ってきた人については特にそれが言えます。バイサイドでのリサーチ機能の強化により、セルサイドアナリスト不要論もささやかれる昨今ではあります。しかし、それでもある日突然セルサイドのアナリストが本当にいなくなってしまったら途方に暮れるバイサイドは相当いるというのが実感です。バイサイドアナリストの質はセルサイド以上に玉石混合です。私もまだまだ駆け出しのアナリストですので、セルサイドのアナリストの知識に助けられている部分もあるのは事実です。特に私は日本にいながら海外の銘柄をリサーチしていますので、現地の細かい情報はどうしても彼らに頼るところが大きいです。一方で、私のスタンスは自分の投資ストーリーを組み立てるにあたって必要なファクト、データ、インフォメーションを彼らに求めており、彼らの投資判断や投資アイディアは重要視していません(これでも一応アナリストですので…)。

個人的にはセルサイドアナリストの役割が終わったとは思っていません。自分の人生観やキャリア観もあって自分がセルサイドに身を置きたいかどうかは別にして、彼らがモチベーション高く仕事をしてくれるよう、満足行く報酬を得て欲しいと思います(実際には収益に対する明確的な貢献の不明な彼らは、投資銀行内部ではコストセンターと見なされることもあるらしく、なかなかそうはいかないようです)。

あんまりセルサイドアナリストのネガティブな側面ばかり書いてしまいましたが、ポジティブな側面も当然あります。個人的に感じるのは以下の点でしょうか。

  • 経営陣へのアクセスがある(弱小バイサイドにとってCEOとの1-on-1は夢のまた夢です)
  • 自分の名前でマーケットに対して意見を発信することができる(その代わりプレッシャーは大きいです)
  • 多くの投資家と接することによりマーケット全体を俯瞰できる(我々は我々とブローカーの意見しか知り得ません)
  • 決算カンファレンスコールで質問できる(表面的にはバイサイドも参加する権利はありますが、質問をしようとしても企業側に無視されます)

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by linate | 2007-11-25 00:30 | マーケット雑感

巨大ディールは戻ってくるのか?

下の参考記事を見て頂ければわかりますが、ようやくクライスラー買収ローンの販売が終了したようです。話を聞かなかったのでもうとっくに売り切ったのかとばかり思っていたのですが、銀行団のバランスシートに乗っかったままくすぶっていたようです。ディスカウント販売はともかく、バンクローン$10bnのうち$2.5bnを返済までさせていたとは。

First Dataのディールが先日クローズし、それを以って巨大ディールの復活への道が開けるのではないかという論調もありましたが、私はそのスタンスには懐疑的でした。First Dataが終わっても、BCE、Alltel、Clear Channel、TXU等の数百億ドル単位のバリューのディールが全然片づいておらず、これらが片づかない限り新たなディールは発生のしようがありません。クライスラーとFirst Dataのローンをディスカウントしながらどうにかこうにか販売し終えられたという状況では、イケイケドンドンの状況で契約されたハイレバ・ロースプレッドの案件に喜んでさらに食いついてくるアペタイトが保険会社やヘッジファンドなどの投資家の側にあるとはとても思えません。私は以前はLBOデットの投資家の側にいました。経済指標や象徴的な企業の決算一つで1日でマインドをベアからブルに、ブルからベアにあっさり振ることをいとわないエクイティの投資家とは違い、デットの投資家は一度ベアに入るとブルに戻るまでには相当の時間を要します。フロント部門の士気低下もさることながら、一時はフロントに圧倒されて案件を承認してきた各社クレジットコミッティーも審査基準をタイトにしている模様です。

何より、今後のディールメイクという意味では、商業銀行や投資銀行にHY債やローンをアンダーライトする体力も残っていないのではと思います。最近のネガティブな決算関連のニュースフローを見ている限りでは。投資銀行部門でのレイオフもすでに始まっているみたいです。

BCE、Alltel、Clear Channel、TXU、これらの案件って本当にクローズできるのでしょうか。

(参考:Bloombergの記事)
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by linate | 2007-11-07 23:32 | マーケット雑感


株屋ですよ。


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