カテゴリ:マーケット雑感( 58 )

GM, of the union, by the union, for the union!

日本のガンは経済に全く貢献しないくせに「地方の」民間平均以上の給与を強奪している地方公務員だと常々思っておりましたが、アメリカにも日本の地方公務員にも似た、能力もないくせに他人の稼ぎにたかる腐った集団がいるのだなと思いました。

UAWです。

GMとクライスラーが破綻に至ったのは、売れる車を開発しなかった、できなかった、ということもあるでしょうが、それ以上の要因はあまりにも重すぎる労働コストでしょう。労働コストが重すぎたが故に、R&Dに満足に資金を回せなかったと解釈した方が良さそうです。

GMの復活にはChapter 11を通じて従業員と退職者の債権・契約を全てチャラにするしかない、と思っていました。が、結局泣いたのは、組合員ではなく、本来ならば組合員よりも上位にいるはずの無担保社債権者でした(さすがに有担保債権者の権利はマズイと思ったのか、結局崩さなかったようですね)。結局、高い労働コストは是正されることはありませんでした。

組合に少しでも反対する議員に対して暴力寸前とも言える圧力を加えようとするなど、昨日今日ではなくGMの苦境が明らかになって以降、強欲、傲慢、自己保身、我が儘、UAWのありとあらゆる暗部が白日の下にさらされました。そしてchangeを訴えて当選した大統領は、重要な支持基盤である彼らの要求をほぼ鵜呑みにし、資本主義・法治国家で当たり前の債権者の優先順位を恣意的に乱し、その当たり前の権利を主張する人間を「強欲」とレッテルを貼りました。

アメリカの消費者もこの過程を見ていたはずです。

いったんはバランスシートがクリアになるであろう新生GMですが、そもそもGMのバランスシートと事業ファンダメンタルズを破壊した根本的な要素は温存されたままです。やがてまた同じ問題に直面することでしょう。これで、これまで不得意だった小型車、環境車の開発に十分な資金を投入できるなどできると思う方が不思議です。

GMが次世代に生き残るために必要な車を開発できるとも思えませんし、いくらアメリカ国民でもあんな労働者の作る車を買おうなどと言う人は確実に減るでしょうし、もはやUAWの息のかかった会社に将来的に資金を提供しようなどと言う人間は資本市場にはもういません。

ただ、ここまで書いてきて思ったんですが、changeを訴えて当選し、Absolute Priority Ruleにchangeをもたらした大統領は、実は自動車業界なんか本音ではどうでもいい、と思っているのではないでしょうか。まともに考えれば、GMはそのうちまた破綻します。大統領もそう考えていてもおかしくありません。実際、米国での自動車産業の重要性など、日本のそれに比べればもはや相当に低下しています。他の産業で雇用や次世代の成長を十分穴埋め可能でしょう。要は、自動車産業などどうでもいいのでしょう。ただ、見かけ上、UAWの肩を持ち、労働者の権利を優先することで、民主党に重要な票田は守ったと言うことでしょうか。その点、自動車産業に雇用・給与を人質に取られっぱなしの日本に比べれば幸せな社会かもしれません。

しかし、組合の力の強い産業、特に伝統的な製造業に対する資本市場の見方は今回のイベントを機にがらりと変わったことは間違いありません。そういう企業は株主の権利や価値など全く顧みられないのみならず、債権者も容易に切り捨てられる可能性が高い。まさにトラウマのように資本市場の関係者の記憶に刻みつけられたはずです。

changeを訴えた大統領は党の票田を守ったばかりに、アメリカ社会の永続的な競争力の維持に必要なもっと重要な何かを失ってしまいました。
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by linate | 2009-06-02 23:07 | マーケット雑感

Moody's 日本国債格上げやったのならば、

で、アイルランド、UK、スペイン、特にアイルランドの格下げはまだ?
アイスランドみたいに、Aaaのまま破綻させる国をこれ以上出さないでよね。
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by linate | 2009-05-19 02:32 | マーケット雑感

言ってることは理解できるんですが、

こういうことを公言してしまうあたり、政治センスのなさを感じるというか、民主党はやっぱり…という印象を持ってしまうのですよねえ。


民主「次の内閣」財務相:ドル建て米国債の購入中止も-英BBC(2)
  5月13日(ブルームバーグ):英BBC放送(オンライン版)は13日、日本の野党・民主党が政権を取った場合、ドル建てによる米国債の購入を中止する可能性があると報じた。
  BBCによると、民主党の中川正春「次の内閣」財務相は将来のドルの価値に懸念を抱いており、円建てによるサムライ債の形でしか米国債購入を続けない考えを明らかにしたという。
  BBCによれば、中国の温家宝首相と中国人民銀行の周小川総裁もまた、ドルの価値を疑問視するとの考えを表明。日中両国の当局者らは海外資産がドルの価値下落で目減りするのを懸念しているとしている。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003011&sid=aaSftGr0p_38&refer=jp_asia
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by linate | 2009-05-15 19:56 | マーケット雑感

あんまりこの人は好きじゃないんですが

クルーグマンが「green shootsなんか糞喰らえ。力強い景気回復なんかあり得るか、ボケ!」とおっしゃったそうです。先日のジムロジャースと同じく、珍しく納得、ということで。

本石町日記さんの以前のエントリーにもコメントしたのですが、欧米人と景気認識について話をしているときにどうも話がかみ合わないのです。「借金じゃぶじゃぶでバブル引き起こしたんだから、当然ツケを払うまでは力強い回復はお預けよ」と思っている私と、「ボトムはQ2、早くてQ1だ!その後は景気回復だ!ヤッホー!」と妙に楽観的な欧米の連中。

一度バブル崩壊とその後の長い景気低迷を経験した日本人なら直感的に「バランスシートぶくぶくふくらませちゃったね。あーあ。失われた10年確定だね。」と別にエコノミストでなくてもそういう理解になると思うのです。でも、欧米人の妙な楽観さから「もしかして連中は、エコノミストですら、今回の景気後退を景気循環の観点だけで物事を考えているんじゃなかろうか?」と最近思い始めた次第です。景気循環的な景気後退ならば確かに失業率は遅行指数ですが、バランスシート不況においては失業率の上昇は消費低迷を通じてスパイラル的に景気低迷を長期化させる要因になるであろうから、軽々しくとらえない方がいいと私は思っているのですが、違うでしょうか。

(Bloomberg記事)
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by linate | 2009-05-13 01:21 | マーケット雑感

We can change!

Absolute Priority Rule just for the sake of Unions!
ってところでしょうか?

クライスラーのChapter 11入りにあたってオバマ大統領は記者会見で一部ヘッジファンドを強欲呼ばわりしたわけですが、以下のリンクによればホワイトハウス主導の分配案に反対しているのはヘッジファンドのみならず、年金基金、大学基金、信用組合も含まれているとのこと。要するにTARPマネーを受け取っていないから、ホワイトハウスのいいなりになる必要性のない人々。

新生クライスラーがゴーイングコンサーンであり続けるには、従業員のコミットメントとモチベーションの維持が必要なのはわかります。ただ、そのために最上位の有担保債権者の権利を侵害する合理性がどこまであるのか。

所詮オバマも旧来の民主党の枠組みそのまんまだったってわけですね。容易に予想できたことですが。

Zero Hedge: The White House Threatened To Destroy Perella Weinberg's Reputation
http://zerohedge.blogspot.com/2009/05/white-house-threatened-to-destroy.html
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by linate | 2009-05-03 01:20 | マーケット雑感

Bloomberg Televisionその後

スカパー光でこれまでBloomberg Televisionを見ていたのですが、スカパーは日本語放送のみならず放送は今後も継続する英語放送までも打ち切ってしまうということで、スカパーは4月末で解約することにしました。

さて、これからどうしようかなと思っていたところ、念のため地元のケーブルのホームページを除いたところ、トップページからしてこんな状態でしたw
b0102654_732698.jpg


金融関係者とエクスパットの多く住む港区をカバーするケーブルならではの反応といったところでしょうか。

ケーブルがやってるからって、うちのマンションにすぐ引けるかどうかは別問題なので、果たして無事自宅にBloombergが再度やってきますやら。

どなたか、日経CNBCではなく、 CNBCを日本で見る方法ってご存じないでしょうかね?
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by linate | 2009-04-28 07:10 | マーケット雑感

モラルハザード

ここを読んでいて思ったのですが、やっぱりGSがTARPマネーを返すのはまだ早いよなあと。汚い言葉で言っちゃえば、目が$マークでぎらぎら血走ったプロップトレーダーやプロップインベストメントデスクを「猿にマシンガンを持たせて野に放つ」ようなマネをしていいのかってことです。金融機関のリスクの取り方とかその規制のあり方、報酬文化についての議論がまだ収束するのにほど遠い状況で。FTの記事にもあるように、GSはtoo big to failのステータスを好む好まざるに関わらず持ってしまっているわけで、GSがまた突っ走って破綻の縁にでも追いやられたらまた公的資金で救わざるを得ないわけで。GSだから大丈夫だなんてもう誰も信じてないし。

CEO自らエクイティストーリーを投資家に向けて語ることもできなかったくせに、ああいう増資の仕方をされると、もはや会社としての信頼はもう失っちゃいましたね。
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by linate | 2009-04-16 23:48 | マーケット雑感

それ何て計画経済?

これまでいくら中国とはいっても8%成長は不可能だという論調が支配的でしたが、ここ最近のベアマーケットラリーの中で「中国は財政刺激策が効果が現れ始めており8%成長が現実のものとなりつつあるという」意見をちらほら見かけるようになりました。

でもって、今日、ブローカーの中国経済に関するレポートを読んでいて気になった一節を引用します:
国有企業や政府の意向が強く反映される業界では、雇用維持のために事業所の操業が半ば強制的に続けられている。例えば、吉林省の自動車工場や青島の家電工場では年初から増産が続けられている。これは、中央政府が09年の成長率目標を8%前後としたため、地方政府も目標達成のために生産を拡大する必要が出てきたためである。




これは40年前の中国ですか? いえそうでもないようです。「09年」という数字が書いてあります。

で、成長目標の達成のために生産された商品を誰が買うのですか? 誰が在庫を引き受けるのですか? その在庫が解消される見込みは? 

目の前が真っ暗になってきました。
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by linate | 2009-04-06 22:43 | マーケット雑感

日本株PEが30倍とか40倍とか

多くの日本企業が急激な需要縮小や円高に伴って大幅な下方修正や赤字転落が予想されており、それに伴って日本株のPERが30倍以上に急激に上昇しています。欧米株のPERが10倍前後であり、これらを表層的に捉えて日本株は超割高であり、底割れ不可避という見方が某大手経済紙とかでも散見されるようになりました。私はあまりにも乱暴な見方というか、不安心理を煽り立てるだけの、全く意味のない論調だなあと思っています。実際、セルサイド・バイサイド問わず機関投資家コミュニティではPERを見て日本株は異常な割高だから日本株を売りまくれ、などという論調はほとんど見かけません。

株価の根拠となる企業利益がある一定のトレンド(成長率)の範囲内で動いている場合は、PERは非常にわかりやすく簡便なバリュエーションツールだということについては私も同意します。翻って、ここもとの企業利益の急減がトレンドかといわれれば答えは「否」でしょうし、異常値と判断すべき範疇であろうと思います。こういう環境においてPERをある単年度の企業利益に当てはめ、割安だ、割高だというのは、もはや有効な議論ではないでしょう。

さらにそもそも、個別企業のバリュエーションを行う場合、当該企業のEPSがマイナスの場合はPERは使いません。なぜなら企業価値はマイナスになることはありえず、企業価値の最小値はゼロだからです。赤字企業の場合は、PER以外の手段での企業価値の算定や割安度の判断を模索することになります。日本の個別企業の場合はPBRやDCF法が結構最近用いられているようです。

個別企業、特に複数の性質の違う事業を持つ会社を評価する際、連結ベースの利益に対して単一のPERやEV/EBITDA倍率といったバリュエーションを適用せず、事業ごとの利益に事業ごとに適切なバリュエーション指標を与え事業ごとの価値を算出し、その合計値を企業全体の本源価値とするSum of the Parts (SOTP)法という評価法があります。SOTP法でも赤字事業部門にPERやEV/EBITDAを直接当てはめてマイナス価値評価を与えるようなことはせず、保守的にゼロとするか、あるいはDCFやPBRで何らかのプラスの評価を与えます。つまり私がここで言いたいのは、個別企業のプラスマイナス入り混じったEPSの合計値であるインデックスEPSにグローバル平均の単一のPERを付す行為は、SOTP的観点から言うと一部の企業にネガティブバリューを与えている可能性が高いということです。赤字企業の数と規模は無視できない水準にある日本株インデックスにとっては、これだけで無意味な評価だといえるでしょう。実際、日経平均の適正水準がPERをベースにすると例えばざっくり3000円とするならば、じゃあ構成銘柄の個別株価はいったいどう動けばいいんだ?という話にもなろうかと思います。インデックスは所詮個別銘柄の集合体なわけですから、個別銘柄のバリュエーション指標と切り離して考えるわけにはいかないと思います。

PER以外の指標による評価を試みれば、PCFRでみた日本株は世界の指数との比較でも特に割高感はありませんし、PBRでは逆に米国株の割高感が浮き彫りになってきます(日本、欧州が1倍を切っているのに対し、米国株は2~3倍の水準)。
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by linate | 2009-03-16 19:51 | マーケット雑感

欧州1月鉱工業生産

欧州各国の1月の鉱工業生産指数(前年同月比)が出てきました。

フランス -13.8%
ドイツ -19.3%
スペイン -20.2%
スウェーデン -22.9%
UK -11.4%
日本 -20.8%

見ておわかりの通り、元々ファンダメが最低のスペイン、工業国のドイツ・スウェーデンは、最悪だ最悪だと言われてきた日本の数字にコンバージしてきました。個人的には日本同様、高度な資本財の生産国であるスイスの状況が気になるのですが、この国は四半期ごとのリリースだそうで。

欧州の生産調整は東アジアに遅れているはずだと直感的に思っていましたので、予想通りの数字が出てきたという印象です。東欧・旧ソ連の実体経済の影響が既に入っているのかどうかはわかりませんが、欧州圏の底打ちは米国や東アジアに遅れると思っていた方がよさそうです。
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by linate | 2009-03-15 21:31 | マーケット雑感


株屋ですよ。


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