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ご無沙汰しておりました

前回ポストから結構開いてしまいました

前回ポスト以降、CFAのLevel 3を受験しまして、それから何もする気が起きなくなっていたところに、婚約してしまったり、Level 3を実は落ちてしまったり、ブラジルに2週間出張に行ったりと、イベントが重なったところに、市場もそれを取り巻く環境も毎日がジェットコースター状態で、今日思ったことが明日には間違っていたとわかったり、ぼーっと考えているうちに市場においていかれそうになったり、でブログのメンテが疎かになってしまっていました。

日本の株式市場は、昨日のアメリカのセンチメントがその動きの大半を支配する自律のない市場だと思っていますが、ここ数日の相場はあきれるを通り越して怒りにも満ちた感情を持ちながら観察していました。株価の割安、割高の尺度にPERとかPBRがよく使われます。たとえばPERが市場平均で13倍だけど、この会社は6倍だから割安だ!とそんな単純なモノではなかったりします。市場平均は13倍だけど、産業によって資本構成が変わり、適正なPERも産業ごとに違ったりするのでセクター平均のPERが6倍、ということであれば、その会社のPERは適正評価ということも言えます。また、その会社が経営に不手際があったりでゴタゴタしていたり、その会社の製品自体自体が衰退するばかりで再度成長に向かう見込みがない、と言った場合には「バリュートラップ」とも呼ばれますが、割安のまま放置されていることが正当化される場合もあります。

翻って日本の株式市場は、PBRが1倍を割れたそうです。上記の通り個別企業のPBRが1倍割れという局面はもしかしたら、それを正当化する理由がある場合もありますが、市場全体のPBRが1倍を割れる、というのは明らかな売られすぎであり異常値以外の何者でもないと考えるべきでしょう。プライムブローカーからクレジットを絞られたヘッジファンドの換金売りや、海外リスク資産の忌避に伴うリパトリを要因として、外人投資家は投げ売り状態の模様ですが、対する国内投資家はなすがままで、流動性を供与するわけでもなく、価格発見機能も放棄しているように見えます。

でも、明らかに割安だけど、問題はそれでもここから買い迎えるのか?という点でしょうか。

日本は相対的にレバレッジのかかっていない社会ですので、グローバルなデレバレッジや信用危機の影響を他の先進国に比して受けずに済むはずだったのですが、株価がココまで下がってくると実体経済に影響を及ぼさざるを得ません。昨日も大和生命の破綻がありましたが、破綻まではないにしても他の保険会社の余力は落ちこそすれあげることはないでしょうし、企業年金不足額の補填のために企業収益は悪化しますし、景気回復過程で再び持ち合いを増やした銀行もこれから含み損を計上する過程に入っていくでしょう。そもそも資産価格の下落は間違いなく個人の消費センチメントを悪化さ、企業業績には明らかにネガティブです。

保険会社がリスク資産への投資余力をなくし、企業が信用力を落とし、銀行も自分の体力が落ちていることから信用供与を絞り始めると、日本経済もグローバルな危機にこれまで想定されていたのよりもひどい程度で同調せざるを得なくなってくるのでしょうか。そうすると、実体経済の方が今の株価がインプライする水準に回帰し、今は割安でも、そのうち正当化される株価水準として落ち着いていくのかもしれません。

今の株価水準は私が銀行に入った頃、自分の銀行だけでなく、どの大手銀行も明日が見えない、明日にはどこの取引先が飛ぶんだろう、来月はもしかしたらあの銀行も飛ぶかもという、不安に私だけでなく同僚みんなが押しつぶされそうな感情を抱いていた頃の株価ですので、またそういう時代が来るのかなあと思うようになってきました、ここ数日。
by linate | 2008-10-11 12:35 | マーケット雑感


株屋ですよ。


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