株式市場のサポートがまた消える

サブプライムCDO発のクレジット市場の変調は、株式市場に対してLBO融資のスローダウンがすでに影響を及ぼしています。LBO以外のプレーンなコーポレートのクレジットへの影響は冷静にクレジット判断をすればさほど影響はないのかと思っていたらそうでもないみたいです。

バブル期の過剰債務に押しつぶされて苦しんだ日本企業は近年過剰に借入を忌避する傾向がありますが、欧米の企業は冷静に資本コストを引き下げるために適度のレバレッジを維持したり、株主からの要求に応じて借入を行いそれにより得た資金で特別配当を実施したり、自社株買いを行うことで株主還元を行うことは当たり前に見られる光景です。

しかし、LBO以外のコーポレートクレジットに対する判断が厳格化すると、負債を用いた株主還元も困難になり、LBOと同様に株価のサポート要因であった積極的な株主還元までもがスローダウンしてしまいます。

まあ、これまでも株主からの圧力で債券発行等による株主還元を行ってきたときは、格付ダウングレート等により既発債の価値が下がるなど、デットの投資家からは「デット投資家の犠牲のもとに株主だけが潤っている」という恨み節は聞こえていましたので、揺り戻しも致し方ないという感じでしょうか。

LBO期待で入れていた銘柄もあるのですが、re-leveragingによる資本コスト低下、自社株買いによる一株あたりの価値の上昇を期待して入れていた銘柄もあるので、両方ともどうしようって感じです…

翻って日本企業を見れば、上にもちらりと書きましたが、上場企業でも資本コストの概念を無視して「無借金は善」とする傾向があります。景気は回復しても銀行融資に対する需要は相変わらず低位で推移していると聞きますが、日本に置いてはむしろ銀行側が融資に対する需要を創出するために資本コストや株主還元の概念を企業に仕込んでもいいのではないかと思います。ただ、「資金使途」を重要視する日本の銀行の審査部は何事かと思うのでしょうね。



米社債:買い手側の力強まる-LBOや自社株買いの資金調達に影響
2007-08-07 01:41 (New York)

【記者:Bryan Keogh】
8月7日(ブルームバーグ):米企業が社債市場からの資金を調達する条件が厳しくなっている。ブルームバーグがまとめたデータによれば、電力会社TXUやショッピングセンター開発のキムコ・リアルティーなど少なくとも10社が今年、社債の買い手側の要求に屈し、格下げされれば利払いを増やすことに応じた。次は住宅関連用品小売り大手のホーム・デポとなる公算もある。

企業のデフォルト(債務不履行)が過去最低水準となり、借り手が社債発行条件を左右していたのは、わずか2カ月前のことだ。今は投資家が信用の質低下に対する懸念を深める状況だが、企業は発表済みのM&A(企業の合併・買収)を実施するための2000億ドル(約24兆円)余りに加え、自社株買い戻しのための資金5000億ドルを集める必要がある。

リバーソース・インベストメンツ(ミネアポリス)で950億ドル相当の債券運用に携わるトム・マーフィー氏は、債券発行交渉で「振り子は投資家側に揺り戻りつつある」と述べた。

メリルリンチの指数データは、投資適格級の社債リターンが今年1-7月期にプラス1.11%だったことを示している。このままいけばマイナス1.89%を記録した1999年以来、最悪の年となることから、社債の買い手側は要求を強めている。

メリルによれば、およそ706億ドル相当の債券が投資適格級から外れるリスクに直面しており、その額は年初来で倍以上に増加。メリルのチーフエコノミスト、デービッド・ローゼンバーグ氏は6日付のリポートで、信用市場の混乱と住宅相場下落が米景気減速につながるとして、米金融当局が10月に利下げするとの見方を示した。

LBOと自社株買い

社債の米国債に対する利回り上乗せ幅は平均1.3ポイントと、2003年半ば以来で最大となっている(メリル調べ)。ブルームバーグのまとめでは、投資適格級の起債は先月、370億ドルと、05年4月以来の低水準に落ち込んだ。

プライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社が今年発表したレバレッジド・バイアウト(LBO)は過去最高の7060億ドル規模。LBOは買収相手の資産を担保に資金を調達し、買収を実施する手法。ビリンイ・アソシエーツ(コネティカット州ウェストポート)によれば、米企業は06年、過去最高の6550億ドル相当の自社株買い戻しを実施し、今年はさらに5171億ドル相当の買い戻しを発表している。

タッターソール・アドバイザリー・グループ(バージニア州リッチモンド)で180億ドル相当の債券運用に携わるパーハム・ベールーズ氏は、「良い時期が長く続いていたが、市場は今や十分なものは十分だと言っている」と指摘した。

同氏は、次に社債購入者の要求を受け入れざるを得なくなるのはホーム・デポだとみている。米格付け会社のムーディーズ・インベスター・サービスは、ホーム・デポを「Baa1」に4段階格下げした。投資適格級としては下位から3番目だ。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、3段階格下げし「BBB+」と、ムーディーズと同じ水準の格付けを付与した。

原題:Bondholders Punish Tyco, Kimberly, Expedia for Buybacks, LBOs
(抜粋)
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by linate | 2007-08-07 23:06 | マーケット雑感


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