NY駐在バイサイドアナリストの一日

アナリストの1日は8時起床から始まります。遅い?知ったこっちゃあるか。嫁さんがつくってくれるおいしい朝ごはんをかきこんだら、家を出るのはだいたい8時半。8時40分バス停到着。

バスが来ねえよ。

そして9時ぎりぎり出社。出社早々は東京の本社からオーバーナイトで届いたメールを片付ける。例えば、前四半期にパフォーマンスが良かった(悪かった)銘柄のディスクロージャー資料に載せるためのコメントを書いたり、保有銘柄のうち前夜急落した銘柄についての釈明を求められたり、そういうの。その後、パフォーマンスが良いと分かっていれば東京から毎日送られてくる個人パフォーマンスファイルを見る。悪いと分かっている場合は見ない。

その後はその日に決算が出ている銘柄があれば、決算プレスリリースを見ながらExcelで作ってる自分の財務モデルに数値を入力しながら決算内容を確かめたり、カンファレンスコールを聞いたり。あ、ちなみに四半期ごとの個別銘柄の決算レポートは私はいちいち書きません。そんな暇があれば新しいアイデアを検討したり、新たなリサーチ対象のモデルを作る時間にあてたいです。

そうこうしているうちに昼飯時。月に何度か担当セクターの経営者やアナリストとのランチミーティングに呼ばれるのでできるだけ出るようにしている。会場はブローカーの本社のダイニングルームだったり、そのへんのレストランだったり。ランチミーティングは飯を食わせてもらえるからって別に特別扱いされているわけでもなんでもない。FidelityやNeuberger Bermanのような大所は自分から出向くなんてせずに、企業の経営者やアナリストが直接彼らのオフィスに出向いて1対1の濃密なミーティングの機会があります。一方、我々弱小バイサイドはそういう場には呼んでもらえないので、ランチミーティングという名のグループミーティングにしかお呼びがかかりません。グループでは一人当たりの質問チャンスも当然少なく、皆が質問しようしようと様子を伺い、前の人間の質問への回答が終わりそうと感ずるやいなや、完全に経営者がしゃべり終わってないのに自分の質問をしゃべりはじめる投資家がいるなど、グループミーテイングでは質問するのも一苦労です。まさに戦場です。調子が悪ければ全然質問できずに終わるなんて日も。まあ、本当にしたい重要な質問なんてのは実際は2〜3程度なのですけどね。一方で、グループミーテイングでは他の投資家の懸念事項や注目点も解ったりするので、良し悪しではあります。投資は美人投票ですので、自分の独善的なビューを持っているだけではダメで、他の投資家と自分の見方の違いはどこにあるのか、コンセンサス的なビューと自分のビューの乖離はどうなりそうなのか、常に他人の意見との差を意識し続けなければならないので、グループミーテイングはそういうのを確認できる場所でもあったりします。

ランチミーティングから帰ってくると、今度は次の銘柄会議に向けた資料作成。私はWordできっちりしたレポートを書くことは殆どなく、PowerPointのスライドがレポート替わりです。PowerPointは左はテキストボックス、右に上下2つの図表というレイアウトをスタンダードにし、左のテキストボックスには12ポイントの文字でびっちりと右のグラフの解説やそこから敷衍される自分のビューをひたすら書き込みます。

もうひとつのツールはExcel。Excelで投資候補企業の財務モデルを作りこみます業績予想をはじき出します。財務モデルはセルサイドのアナリストからももらうことはできて、それを使えば手っ取り早いんですが、過去数年の財務データも入力しつつ、自分で作った方が何がこの会社の成長ドライバーで、何がボトルネックなのかがよくわかるので、時間がある限りは財務モデルは自分で作るようにはしています。ただ、時間との兼ね合いで、ブローカーのモデルを使うこともありますが、将来の業績予想のドライバーとしてどんなKPIを選択するか、どこまでドライバーを細かく分解するかとかに、アナリスト個人の会社や業界に対する見方が反映されるので、セルサイドのモデルを使っていると、そのモデルを作ったアナリストのレールの上を走らされているようであまり気分がよいものでもありません。

財務モデルの骨子を創り上げると、今度は将来予想の数値をより精緻にするために、企業と電話会議を行います。業界全体の動向はどうなのか、そのなかで個別企業としてどんな製品を売ろうとしているのか、どのようにシェアを拡大させるのか、コストインフレを反映できるほどのコンフィデンスを今持っているのか、設備投資に対する考え方、目標レバレッジ、余剰キャッシュフローの使途は、等々ひと通り聞きます。電話相手がIRであれば、割と細かい数字の話を、経営者やそれに近い人であればビッグピクチャーを聞いたりと、話す相手により質問内容を変える必要があったりします。経営者に細かい数字について聞いてもわかってないから答えらない可能性も高いですし。

そして夜になり東京が朝を迎えると先ほど作りこんだスライドをもとに東京との銘柄会議を電話で行います。自分の個人成績がいいうちは私が一方的に推奨銘柄を喋るだけですが、成績が悪いと詰め詰め会議になるので、その時のパフォーマンスによって雰囲気は全然違いますです、ハイ。最近はまあ割と良いと思います。

そしてようやく帰宅の途につきます。だいたいいつも7〜8時くらいには会社を出る感じですかね。

バスが来ねえよ。

帰ってからも気になる銘柄は自宅からウェブを駆使していろいろ調べたり、果てはその場でモデルや資料の作り込みも始めたりすることもあります。この仕事はネットさえあればどこでも出来る仕事ですし、むしろ会社よりも自宅の方がPCやネット接続環境は良好ですので、家のほうが仕事がはかどる、なんて場合もあります。
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by linate | 2011-01-26 12:55 | 仕事


株屋ですよ。


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